セッション定番曲 On Green Dolphin Street 作曲者はBronisław Kaper
マイルスのレコーディングより、ジャズのスタンダードとして定番曲となったこの曲をアナライズ!
コードやメロディを確認します
On Green Dolphin Street聞いてみよう!
ぜひ聞きながら読んでください
コード進行を分析しよう!
色んなKeyで演奏されることがある曲ですが、今回はKey in Ebで考えてみましょう
この曲はABACというフォームをしていて32小節の定番のフォームです
Aパートはトニックベースペダルを演奏するのが定番です
ペダルをコード表記するときに、分数のような表記があります。分子の部分はコード、分母ではベース音が指定されています。このようなコードをオンコードや分数コードと言います
Ebをそれぞれのコードの中心的な音として捉えるような引力を持っています!
Aパート
Aパートは調性がころころと変わって行きます
・EbM7はトニック
・Ebm7はエオリアンスケールです
このようにEbメジャーからEbマイナーへと転調するのは同主調転調といいます
元の調の3度,6度,7度が半音さがります
この曲では、メロディが短7度へと下がります
・F7/EbはEbのリディアンスケール
マイルスのソロはF7を意識した歌い回しですが、コルトレーンのアドリブはEbイオニアンスケールを使う場面も多いです
現代的な解釈だと、F7(#11)と解釈すればEbリディアンオーギュメントスケールと解釈することもできます
・EM7/Eb はEbフリジアン(Eリディアンと捉えてそう)解釈です
素直に捉えるとEbリディアンからEリディアンへ半音釣り上がったような音運びです
・EbM7はトニックでイオニアン解釈です
・C7はBパートのFm7へのファイブモーションです
ここはGm7-5 C7 と演奏されることも多いです
ポイント
ベースペダルポイントはイントロや冒頭、エンディングで使用されることが多いです。
持続音として使用されるのみならずリズムパターンとしても使用されます
ペダルトーンは原則としてコードトーンまたは、テンションが使用されます
この曲のように転調を伴うシーンでペダルノートを作ることで、転調感が緩やかになりチェンジに一貫性、統一感を持たせることができます
Bパート
Bパートは2種類のⅡⅤモーションがあります
・Fm7 Bb7 EbM7 これはEbhe向けたⅡⅤモーションです
そのまま4度進行してAbm7からDb7 GbM7とGbへのⅡⅤモーションが作られます
Fm7 Bb7は次のAパートのEbへ向けたⅡⅤモーションです
整理しよう!
ルートが4度上へ進行する進行を強進行といいます。強進行はつよい進行感を持ちます。この例ではⅡⅤモーションの間に強進行を挟むことで短3度上への転調を作っています
Cパート
Aパートでは、ペダルポイントを作る為にオンコードが使用されていましたが
このCパートでは使われるオンコードでは、ルートを滑らかに進行させるためのリード音としてオンコードが使用されています
・Fm7 Fm7/Eb
これは、Fm7からルートが7thに下がり次のDm7-5へと半音で下る滑らかな進行を作っています
・Dm7-5 G7-9
Cm(マイナートニック)へ向けたⅡⅤです
・Cm7 Cm7/Bb
これも、最初のFm7 Fm7/Ebの流れと同じような仕組みです
Am7-5へ向けて音が流れるように作られています
・Am7-5 D7-9
Gmへ向けたⅡⅤです
・Gm7 C7 Fm7 Bb7
Ⅲm Ⅵ7 Ⅱm Ⅴ7と呼ばれる定番のコード進行です
それぞれGm7 C7はFmへ向けて、Fm7 Bb7はEbへ向けたⅡⅤモーションを作っています
一つずつ、取り上げていくと簡単だね!
今回の例に限らず、オンコードを分析するヒントを紹介します!
オンコードを解釈できるようになろう!
オンコードを分析するには、いくつかの方法があります
例えば
Cm7/Bb というコードがあったとしましょう
「なんかよくわからないなぁ」という気持ちも分かるのですが
なんかよくわからないコードは構成音を考えてみよう!
構成音は
Bb C Eb G Bbです
これをルートに対してどんなインターバルか考えてみると・・・?
Bb(ルート)
C (9th)
Eb(11th)
G (13)
これをBb目線で考えると
Bb7sus4(9,13) こんな表記ができます!
こんな構成音を持つスケールは
・Bbミクソリディアンスケール
・Bbドリアンスケール
などが一般的です!
このように分数コードは、構成音を考えてルートに対するインターバルを整理すると
どんなスケールが想定されるか導き出すことができます!
もっとマニアックなオンコードに関する解説は下記の有料会員エリアから読むことができます!
まとめ
複雑なコードは、構成音を書き出したり、前後の音と比べることで
どんな機能をもつか、あるいは機能を持たないのかが見えてきます
また、スケールも導出することができるので、どんなに複雑なコードでも、構成音を把握できるようになることはとても大切だね!
On Green Dolphin Street完全に理解した
ということでOn Green Dolphin Streetのアナライズ編でした!
オンコードの魅力を引き出すことができると、作曲や編曲、アドリブ演奏の引き出しはとても多くなります!
次回は、アナライズはわかったけど「さて、どう弾いてやろうか」という実践編を更新予定です!
以下は有料ゾーンです
有料ゾーンではもう少し分数コードについて考えを深めて行きます
全てのメジャートライアドに対して分母をCとした時の解釈について紹介します