こんなこんな質問をいただきました。
わかります
周囲の音に反応するプレイってかっこよくて憧れますよね!
ということでこの記事では、即興演奏におけるリアクションについて考えてみましょう。
リアクションのあれこれ
一口にリアクションがいいといっても、いろんなシーンが考えられます。
ユニゾンを促すプレイに対して即座にユニゾンやハモリを作る
リハモに対してついていく
リズムアプローチを合わせにいく
モードの展開っぽいと読んでリフを即座に作る
これらを一言でまとめると
「その場にあった音をその時その瞬間で演奏すること」と言えるでしょう
確かにこのようなプレイについて、リアクションがいい!ということもできるでしょう。
しかし一方で、ソリストを際立たせるために、ずっとパターンに徹しながら、曲のフォーム(AABAなど)を示す音、目印となるような音を外さずにしっかりと堅実な演奏をすること。これも地味ですがある意味でリアクションと言えると思いませんか?
何か喋ってる人だけが考えているわけではなく、考えていることはあるけれどもあえて今は喋らずに見守ろうという姿勢ってありますよね?
先ほど紹介したような派手に盛り上がるシーンを待っている静かな演奏もまたリアクションなのです。
アドリブにおけるリアクションの美学
さまざまなリアクションの形がありますが、派手なものも地味なものも全てのリアクションについて共通していることは同じゴールを見据えて演奏することだと思います。
アドリブ演奏には展開があります。それらの展開ごとにも小さなゴールがありますし、最終的にどうなりたいかという大きなゴールもあると思います。
こういった展開の作り方、方向性を見失わずにプレイし続けることがリアクションのいい演奏の肝だと思います。
展開の探り方
そういったゴールや展開を見分けるための考え方について、自分なりの方法を紹介します。
まずは、曲を知ることです。曲を知っていることは演奏するうえでとても大切なことだと思いますが、みなさんは何をもって曲を知っていると言えると思いますか?
コード進行、メロディ、理論的な分析。確かにこれらも大切な要素ですね。
その曲の構造を知ったうえで、演奏したほうがいいに決まっています。
私が重視していることをいくつか紹介します。
その曲が普段どんな風に演奏されることが多いかを考えたことはありますか?
有名な演奏や原曲が、どんなアレンジで演奏されているのかを知ることは大切だと思います。
例えば、On Green Drphin Streetの譜面を渡された時のことを考えてみましょう。
Aパートがラテンでペダルという指示があります。
さてここで、どんなラテンパターンを演奏するかは奏者に委ねられています。
ウィントンケリーのアルバムでポールチェンバースはどんなパターンを弾いているか知っていますか?
こんなパターンを弾いています。
(ヘ音記号です)
この譜例を知ったうえで、いろんな演奏を聞いてみると、このリフやリフの変形と出会うでしょう。
このように曲を知っていれば見える景色があります。
逆に知らなければ、違うパターンをその場で生み出すことになります。
そうすると共演者が、この定番のリフを知っていた場合は意図せずに定番のパターンから外れてしまうことになります。
少し違うアプローチから始まり、少し違う雰囲気の演奏になっていくでしょう。
曲をよく聞いていることが大切です。
その曲はどんなふうに演奏されることが多いのか。
また、譜割やハーモニーなどから似たような楽曲や想起されるアレンジがあるか。といった視点で音楽を聴いて、練習することでアドリプ的な伴奏の引き出しは増えていきます。
このような知識があると共演者が定番の雰囲気で演奏したいのか、あるいはそこから抜け出すような演奏をしようとしているのか推察することができます。
その場に合った音を提案するということは、基礎知識とそれを再現する演奏基礎技術があることを前提に成立します。
こちらはエバンストリオ。先に紹介した曲とはまた違う世界ですね。
この先はジャズアナ応援者 向けの記事です。
「音楽の聴き方を変えよう」というテーマと「リアクションするタイミング」にかんする記事が続きます。もう少し具体的な例を挙げながらリアクションについて考えています。